ミヤガワ日記

ピアノや読書を中心に、日々の気になったことを書いていきます

【伊勢神宮旅行記】名古屋の大須商店街と伊勢神宮へ行ってきた


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陽光が柔らかな10月のある日、僕は伊勢神宮に行く事にした。以前より鉄道系YouTuberのある人の動画を見ていて、旅をしたくなったのと、平成もあと少しだし伊勢神宮を見ておきたかったからだ。

僕は今までの人生で伊勢神宮に行ったことが無い。三重県も行ったことが無い。

よし、行ってみよう!しかし、三連休のなか日の日曜日、東京の薄汚れたアパートでゴロゴロしながらそのようなことを考えていると、別に行かなくてもいいかな?という考えがよぎる。このまま一生ゴロゴロして暮らしたいなぁ、お金が降ってこないかなぁ、宝くじ当たらないかなぁ。

そこで出不精の僕を突き動かしたものは、一週間前に予約した今夜泊まる事になっていた名古屋のホテルについて。取り敢えず、予約だけはあらかじめしておいたのだ。

キャンセルできるかどうか検索すると、キャンセル料は当日全額頂きますとのこと。これは、行かないともったいない。重い腰を上げて起き上がり、ボサボサの髪を適当に整えて、面八句をアパートの柱に懸け置く。

 

 

 

 

 

東京駅  行き交う人もまた旅人なり

東京駅に着いたのは14時。三連休のなか日で多くの人で賑わっている。行き交う人もまた旅人なり。

直近の名古屋行きの東海道新幹線のチケットを購入して新幹線に乗り込む。持っていたカメラ、RICOHのGR2で新幹線の写真をバシャバシャ撮る。

RICOH デジタルカメラ GRII APS-CサイズCMOSセンサー ローパスフィルタレス 175840

蓋し、旅の手段の交通機関を目前にすると人はハイテンションになってしまう。最近流行りのエアポートおじさんもこの類いだろう。

エアポートおじさんとは、頼まれてもいないのにSNSで「これからハワイに行ってきます!」などのコメントと共に空港の写真を上げて、自己の承認欲求を満たすおじさんのことであるが、これが若い女性から疎ましく思われているらしい。そのくらい許してあげてよ…。

 

 

新幹線に乗り込むとそれほどは混んでいなかった。三列シートの通路側に座って、1時間40分くらいで大都市名古屋に到着した。

名古屋駅は東京と同じく混雑しており活気にあふれていた。時刻は16時少し前というところ。

今から伊勢神宮に行く?ムリ。時間的に余裕がない。明日の朝早くに行く事にしよう。

今日は名古屋見物をしよう。なんとなく名古屋駅の東口を出て、大須商店街の方まで歩いてみる事にした。google mapで検索してみると結構な距離がある。しかし時間は沢山ある。

名古屋の道路は広い。いつ来てもそう思う。そのことが若干都市として間延びした、散漫な印象を受ける。しかしそれが名古屋の特徴であり、東京では味わえない情緒のひとつである。濃尾平野を横断する高速道路の下を通る。トラックやダンプが数多走っている。10月だというのにまだ少し蒸し暑い。

 

新幹線

名古屋駅を出発する新幹線


 

 

 

大須商店街  諸国民の土地

大通りを右に入り、少し歩いて左に大須観音があった。やっと着いた。大須観音の境内に歩を進める。周りからは日本語以上に、中国語、韓国語、英語等が聞こえる。大須観音の裏手には大須商店街が広がっている。

名古屋の大須観音

名古屋の大須観音

 

大須観音の大きな提灯

大須観音の大きな提灯

取り敢えず本堂へと続く階段を上り、線香の匂いで充満している本堂で大須観音に手を合わせる。何の御利益があるかは知らないが、お金が貯まりますようにとか彼女が出来ますようにとかありきたりなことを祈っておいた。

大須商店街を奥に進んでいく。雑多な、アジアの路地裏的なイメージのするアーケード街だが、道は綺麗で清潔感があるあたりは日本という感じがする。

東京で言ったら浅草の仲見世商店街が近いイメージか?或いは中野、高円寺、阿佐ヶ谷あたりのアーケード街にも近いイメージがある。足して二で割って、東南アジアの路地裏をくわえた感じがする。

外でモノを食べる事が出来るような飲食店が沢山あり、自由さを感じる。こういった部分も外国人観光客が沢山訪れる要素の一つだろう。

街の至る所で腰を下ろして休んでいる若者や、何かを食べながら喋っている異国の人を見かけた。

 

大須商店街

大須商店街


 

 

 

 

偶然!  何故か先輩カップルと夕食をご一緒に  

 

僕も道端に腰を下ろして、

「大須観音、大須商店街すごい楽しい!今まで名古屋をdisってしまいすみませんでした!」

こんな言葉とともに大須の風景の写真をSNSで発信すると、すぐさまA先輩からLINEで電話がきた。

A先輩とは過去の記事でも度々登場している旅好きなバイタリティ溢れる先輩である。

「ミヤガワ、お前今、大須観音にいるの?俺今、伊勢神宮行ってきてこれから名古屋に向かっているところ。夕飯一緒に食べようよ」

「えー、マジですか?僕は明日伊勢神宮に行くんですよ!奇遇ですね。夕飯良いですね、名古屋駅あたりで食べましょうか」

 

こうして、僕は先輩と名古屋駅で夕飯を食べることになった。考えてみれば不思議な偶然である。僕もA先輩も普段は東京に住んでいて、それほど頻繁に会う訳ではない。特に半年前からA先輩は彼女が出来たとのことで、僕と会う機会も減っていた。

ここまで考えてふと思った。「あれ、A先輩は一人で伊勢神宮に行ったのだろうか?さっきの電話では彼女が一緒だ、という感じではなかったが?」

一抹の不安を感じながらもとりあえず、上前津駅で名城線に乗り、栄で下車して、予約してあったホテルにチェックインした。

 

 

19時半に名古屋駅に再び舞い戻り、指定された場所に行くと、やはりと言うべきか、A先輩の横に小柄で綺麗な女性がいた。

「俺の嫁です」

「まだ嫁じゃないよー」

じゃれ合う姿を見て僕は、二人の楽しい時間を邪魔してしまうようでA先輩はともかく、A先輩の彼女に申し訳なく思った。事前に知っていればA先輩の巧みな誘いには乗らなかったであろう。

こうして3人で恐らく名古屋電波塔より高いであろう名古屋JRゲートタワーで鉄板焼きを食べることになったのである。

「天」という店で、検索すれば別に名古屋だけではなく東京にもあるのだが、伊勢海老が食べたい、出来れば松阪牛が食べたい、せっかく旅にきたのだから奮発したい、と言った3人の意見が一致してこの店になった。

 

 

A先輩と彼女はなんと金曜日の午後に東京を出発して鈍行列車を使って、中央東線でまず松本まで向かい、中央西線で名古屋まで来る、そして伊勢神宮を参拝してきたらしい。こんな経路を考えるのはA先輩しかいない。

「それ、騙されていますよ。新幹線だったら1時間四十分ですよ」

「ですよねー、私騙されていますよね」

「え、でも電車の中でよく寝れたから良かったじゃん」

こんな会話をしているうちにコース料理が運ばれてきた。すかさずA先輩と僕はその料理を写真に収めた。僕はGR2でマクロモードにしてどれだけ接写でボケ感のある写真が撮れるか、挑戦していた。

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彼女は写真には興味が無いらしく、男二人で料理が運ばれてくるたびに写真を撮っている様子が可笑しかったようだ。

「インスタ女子じゃあるまいし」

 

肝心の料理はとても美味しかった。雲丹の手巻き寿司は濃厚で、とろけるように甘かったし、アワビは今まで食べてきたアワビの中で一番柔らかかったし、伊勢海老は食べづらいことを除けば歯ごたえがプリッとしていてこれも美味だった。サーロインステーキも柔らかくて、味付けも絶妙であった。もう一万円出せば、松阪牛になるところだったが、そこは3人とも理性が働いた。というか、A先輩と彼女は伊勢神宮のおかげ横丁で松阪牛の牛串をたらふく食べてきたらしかった。

 

鉄板焼き「天」のウニの手巻き

鉄板焼き「天」のウニの手巻き

鉄板焼き「天」のアワビ

鉄板焼き「天」のアワビ

鉄板焼き「天」の伊勢海老

鉄板焼き「天」の伊勢海老

鉄板焼き「天」のサーロインステーキ

鉄板焼き「天」のサーロインステーキ

 

 

 

「今日は鈴鹿でF1があってさ、電車もめちゃくちゃ混んでいたよ」

「どうりで、僕も昨日名古屋のホテルを予約しようと思ったんですが、そのせいですかね、どこも高かったのは」

「電車の中の外国人が彼に歌を歌うように要求してきたんです。歌い始めるんじゃないか?と思ってヒヤヒヤしていました」

こんな会話をして時間が過ぎていった。

A先輩と彼女は、明日の朝例によって長野経由で帰るという。

「善光寺寄っていこうよ」

「えー、それまた騙されてない?」

「騙されてますね」

A先輩の構想によると中央西線で松本まで行き、篠ノ井線で長野まで行って、善光寺詣で、それから長野新幹線(北陸新幹線)で東京に帰る、というルートらしい。

 

しかし、「伊勢神宮参りの後に、善光寺詣でも行う」というのは、江戸時代の人々も行なっていたらしい。

せっかく一生に一度の伊勢神宮に来たから、帰りは中山道で信濃国まで行き、善光寺詣でもしてから江戸に帰ろう、といった人々が江戸時代にも多数存在したらしいのである。

A先輩は何も考えていないように見えてこのように物事の本質を突けるところが素晴らしい。江戸時代の人も東海道を往路にして、そのまま復路も東海道だと、もったいない。そうだ、中山道を通って善光寺に行ってから江戸に戻るとしよう、と考えていたはずで、そういった思考が現代人であるA先輩にも意識せずとも脈々と受け継がれているというのは興味深い(もっとも、A先輩は往路も東海道では無かったが)。

 

A先輩達との別れ際に先輩が「青空フリーパスを使えばいいよ」と教えてくれたので、JRの切符売り場で青空フリーパスを買った。親切にもA先輩が買い方を教えてくれた。A先輩さまさまである。お二人には是非とも幸せになって欲しい。

 

青空フリーパスとは、JR東海が発行する切符で、土日祝日のみ使える一日乗車券である。大人2570円で、名古屋周辺のJRの普通電車、快速電車を使用できる。

 

 

さて、一人地下鉄に乗って名古屋式の大きな道を渡りホテルに戻り、明日の朝何時に起きようか?早いうちに伊勢神宮に行った方がいいよなぁ、と考えた僕はスマホで時刻表を検索してみた。

すると、近鉄を使えば名古屋発5:26から始発があり、7:07に伊勢市駅に着く、という結果が出た。しかし、青空フリーパスは近鉄では使えないので、JR線を使うルートで検索してみると、始発が「快速みえ51号」で、名古屋発7:43、伊勢市駅到着が9:30との事。

なるほど、この始発時間から察するに一般的にこの地域に住む人は近鉄を利用する人が多いようだ。

伊勢神宮参拝を早い時間から行いたい人は近鉄を利用すると良いだろう。少しでも電車賃を浮かせたい人は青空フリーパスを使ってJRを利用するのも良い。

近鉄を利用するのはまたの機会にして、今回は青空フリーパスで、9:30伊勢市駅到着のルートで行こう。そう考えながら床についた。

 

 

 

 

快速電車のくせに「みえ」という名前が付いているのは些か大げさな感じがしないでも無いが、取り敢えず快速みえ51号に乗り込み、自由席を確保できた。

この電車、快速という名前の割には、途中駅等での待ち合わせが多い。関西本線の単線区間が影響しているらしい。

そして、青空フリーパスは追加料金が取られることはなかったが、なんでも河原田から津のあいだ、第三セクターの伊勢鉄道という謂わば「近道」を使うためか、510円分の追加料金を車内で徴収されている乗客が目立った。僕の向かいに座っていた外国人の方もジャパンレールパスしか持っておらず、納得いかないという顔をしながら追加料金を払っていた。

さて、いつの間にか三重県に上陸し車窓に目を向けると、大部分が「濃尾平野」という感じだった。あまり山が無い。丘すら無い。僕の故郷は山奥なので、逆に新鮮だ。そしてJRの路線の為だろうか?わざと田舎を走っているのではないか?というくらいに結構な田舎であった。

JRと近鉄で同じ位置に駅がある場合もあるが、基本近鉄の駅の方が海側にあるはずなので、そちらは幾分都会的なビルがあるのかも知れないし無いのかもしれない。

ともあれ、長閑な田園風景や、コンビナート、家々、大小の川、そういったものを電車の刻む一定のリズムで体を揺らしながら見ていると、日常のくだらない事をしばし忘れて、旅情に浸れる。

結構な距離を電車で来た。江戸時代の参拝者は宿場町沿いに歩いていった訳だが、今現在では電車があるものの当時こんなにも長い距離を徒歩で行くというのはいったいどのような気分になっただろうか?とも思った。

名古屋から伊勢までも「長い」と思ったので、これが当時の江戸〜東海道〜尾張〜伊勢というルートだと、気が遠くなるほど歩かなくてはいけない。昔の人の脚力に驚嘆する。

 

 

ふとこのまま、毎日独りで気ままに漂泊の旅行がしたいな、もう仕事したくないなぁなどとも思いながらも、いや、旅というものはたまに行くからその非日常性を味わえるのであり、これが日常だったらそれはそれで飽きてしまうものなのかもしれないとも思い直す。

 

途中の駅に「宮川駅」というものがあり、ミヤガワという名字の発祥地はここなのかな?などと思ってみたりしているうちに宮川の大きな鉄橋を渡り伊勢市駅に着いた。

 

宮川駅

宮川駅

 

 

 

 

 

なにごとのおはしますかは知らねどもかたじけなさに涙こぼるる

 

伊勢市駅は近鉄もあるため構内が広く、また新しく綺麗な作りだったが、至って平凡だった。というより、僕が想像していたよりも駅前に都会感は無かった。

スタバもマックも無かった。一週間前にホテルを検索したのだが、伊勢市ではあまりヒットしなかったのはこういうことだったのか。確かに伊勢神宮の廻りに大きなビルが林立していたら色々と台無しである。

伊勢市駅

伊勢市駅

 

外宮表参道

外宮表参道


 

まずは外宮参りから。幸いにしてこの日は天候もよく、外も気持ちが良かった。伊勢市駅を出て真っ直ぐ伸びる参道を歩いていくと5分程度で外宮に着く。三連休の最終日で10時前だと言うのに人も多かった。もっとも伊勢神宮はいつだって賑わっていることは想像に難くない。

外宮に祀られているのは豊受大神という食物の神さまである。「うけ、うか、みけ、みけつ」という言葉は食べ物を表す言葉で、一説には宇迦之御魂神(お稲荷さん)と同一視されることもあるという。

豊受大神

豊受大神



一歩神域に踏み入れるとまずその森の広大さに驚く。と同時に森林浴の効果なのか、清々しい気分になってくる。樹齢何百年かは分からないが、立派な木々が沢山ある。玉砂利のサクサクと鳴る音も如何にも神社に来た感じがして良い。

 

まずは御正宮に参拝する。2013年(平成25年)の式年遷宮以来、向かって左側が御正宮となっている。20年おきに式年遷宮が行われるので、2033年からは右側の土地に新たに建てるのだなぁと思う。その頃自分は何をしているだろうか?

 

伊勢神宮外宮御正宮

伊勢神宮外宮御正宮

 

考えてみれば凄いことで、式年遷宮にかかる費用は何百億円という話。しかし、これはお金の問題ではなくそうすることにより宮大工の技術が受け継がれたり、地域や、ひいては日本全体が活性化されたり、そしてこのような伝統が連綿と続いていくのは単純に素敵なことだと思う。

参拝を終えて、近くに人だかりができていたので近寄ってみる。そこには三ツ石というものがあって、式年遷宮の時にお祓いをする場所とのこと。その名の通り石が埋まっているのだが、周囲の人が「本当だ、ちょっと暖かいね」と言っていたので、僕も手をかざしてみる。確かに少し暖かい気がする。気分の問題である。

 

外宮の三ツ石

外宮の三ツ石

 

次に亀石というものがあった。三ツ石ほど有名ではなく、池に架かる橋の役目をしているためか皆気づかず踏んづけて行くのである。

僕がそこを歩いている途中、そこに乗った小さな石が上下に数秒だけ振動していた。結構長い間振動していたので、一瞬ドキッとしたが僕はこういった現象に対して理性的に判断するので、歩いている振動につられて小石が振動しているだけだろう、と考え直した。

たとえそこが神社であろうとも、なんでもオカルトに結びつけるのはよくないのである。オカルトというものは暇つぶしのエンターテイメントぐらいでちょうどよい。

別宮の多賀宮を参拝し、外宮をあとにした。

 

伊勢神宮外宮の自然

伊勢神宮外宮の自然

 

内宮までどうやって行こうか?と思っていた。時間があるならばその土地の雰囲気を味わうためにも徒歩で散策したい、というのが本音ではあったが、次の日は東京で、かつ出勤しなくてはならない。

バス停が目立つところにあったので、バスに乗り込む。スマホに入れてあるSuicaカードが使えた。430円也。

便利な世の中になったものだ。そのうちお賽銭もApplePayで納めるようになるだろう。ブロックチェーンの普及が進めばビットコインやリップル、イーサリアムといった仮想通貨でも納めることが出来るかもしれない。そんな新旧の特徴が入り混じった世界を想像するのは面白い。

ちなみに伊勢神宮ではお賽銭を受け付けない。天皇陛下のみがお供え出来る。しかし皆、白い布にお賽銭を投げ入れていた。僕もそうした。

 

 

バスが内宮に着いた。ちょうど鳥居と太陽の位置が重なっていて、見るからに神々しい。

 

伊勢神宮内宮大鳥居

伊勢神宮内宮大鳥居

 

その昔西行法師が「なにごとのおはしますかは知らねどもかたじけなさに涙こぼるる」と詠んだ伊勢の内宮。

「どのような存在がこの内宮の中にいらっしゃるのか分からないが、その存在がいらっしゃる事自体ありがたく、自然と涙がこぼれる」

 

こういった歌が「分かる感覚」というのは、日本人の持つ情緒であり、大きな特徴の一つであると思う。

重要なのは西洋人の「論理」か、東洋人の「情緒」か?という問題はさておき、西行法師はロマンティストな旅人、感受性豊かな詩人であったのであろう。こういった人間はいつの時代でも生きるのに苦労しそうである。

 

 

内宮に祀られているのは天照大御神。天津神であり、太陽神である。そして天皇陛下の御祖ということになる。

天照大御神

天照大御神

 

伊勢神宮内宮参道

伊勢神宮内宮参道


 

五十鈴川に架かる宇治橋を渡ると、深い原始の森がどこまでも広がっている。植物の発する混じりけのない清新な空気で満ち溢れている。森に囲まれた参道の玉砂利を踏みしめて歩いていると気持ちも引き締まり、この土地を訪れて良かったと思った。

御手洗(みたらし)と呼ばれる、五十鈴川河畔に面した手を清める、禊をする場所がある。透明度の高い清流には魚の姿も見える。上流を見ると川面に太陽が反射してキラキラと輝いて見える。僕も他の参拝者と同じく手を清めてから参道に戻る。

 

内宮のみたらし

内宮のみたらし

 

伊勢神宮内宮御正宮

伊勢神宮内宮御正宮

 

 

御正宮の階段は30段あまり。

伊勢神宮では基本的に荒祭宮以外はお願い事をしてはいけないということになっている。伊勢神宮は国家の安寧を祈念する場所であり、一般庶民が商売繁盛だの、恋愛成就だのを祈ってはいけないのである。僕も「この日本国が平和でありますように」という祈りにとどめておいた。

 

それにしても、神宮の建築というのはミニマリズムな潔さがある。素木で作られた社殿に、空を割る千木、円柱を横にした鰹木。素っ気なさに潜む美しさ。「唯一神明造り」と呼ばれる、2000年以上前より存在する日本古来の建築様式を今現在も守っているのは驚嘆すべきである。

 

余談ではあるが、日本にはミニマリズムに通づる美しさと、アジア的な、雑多な美しさの二面があると思う。

伊勢神宮や桂離宮、銀閣といった建物に潜んでいるのが、潔い、ミニマリズムの美しさ。

他方で、日光東照宮とか、昨日行った大須商店街とか、ドン・キホーテの店内のような情報過多な、アジア的なものにも美しさを見出す事もできるだろう。

ミニマリズム↔雑多さということで言えば、AmazonのサイトUIと楽天のサイトUIのことも思い出した。

 

 

参拝後、右側に進んでいくと大きな木があったり、荒祭宮があったりした。その後、元来た参道に出ることが出来る。

参道を戻る時に、左側にある五十鈴川の支流に架かっている橋を渡ると風日祈宮がある。元寇の時に神風を吹かせた神様が祀られている。

この社殿も素木でとても美しい。うっかりすると参拝し忘れてしまいそうな場所にあるが、参拝できてよかった。

 

風日祈宮

風日祈宮


 

 

小さなお守りを授与して頂き、神馬を見てから、内宮の森をあとにする。

西行が歌ったように、伊勢神宮にはフレッシュな気が満ち溢れていたように思う。そして僕も自然と背筋を伸ばしたくなるような、かたじけない気持ちになる。

 

 

次は伊勢神宮の帰りに立ち寄らねばならないおはらい町、おかげ横丁に行く。内宮を出てすぐ右側にある。

沢山の店が立ち並んでいる。行き交う人々も多い。食べ物ならば赤福、伊勢うどん、手ごね寿司、牛串、アイスクリームなどなど。伝統工芸品、真珠なども売っている。

伊勢神宮おはらい町

伊勢神宮おはらい町

 

おはらい町の町並み

おはらい町の町並み

 

 

おはらい町は五十鈴川に沿って作られているので、路地を抜けた裏手に五十鈴川がある。ここの空気も清新でまた良い。上流には先程の伊勢神宮内宮へ渡る宇治橋があるはずである。

対岸には子供がいて、川面に石を投げて水切りをして遊んでいるのも微笑ましい。最初の三重県のイメージは「平野」であったが、この辺りは神宮の森も含め、山が多い。

五十鈴川の風景

五十鈴川の風景

 

おかげ横丁で、適当に空いている店に入り、ねぎとろ定食をいただく。そこは手ごね寿司か伊勢うどんだろ!と思われる人もいるかと思うが、量が多そうだったので辞めておいた。今度来た時に食べよう。

 

おかげ横丁

おかげ横丁、アミューズメント施設もある

 

再び内宮前まで戻って、帰りのバスに乗った。終点の伊勢市駅に着くまでに近鉄鳥羽線の五十鈴川駅、宇治山田駅を経由した。宇治山田駅は皇族の方々も伊勢神宮参拝に使われる駅で、バスの車窓から見ても古くからの駅舎は本当に立派だった。近くによってみると芸の細かい装飾が見られる。

国の登録有形文化財に指定されている。1931年に久野節が設計したというから、今度来たときにはじっくり見てみたい。

 

宇治山田駅〜Wikipediaより引用

宇治山田駅〜Wikipediaより引用

 

 

伊勢市駅についたあとは、また快速みえに乗って名古屋へ、名古屋の激混みカフェでコーヒーを飲んだあと、かろうじて取れた新幹線で東京に戻った。なんでもこの日は名古屋近辺で乃木坂46関連のイベントがあったらしく、三連休の終日とも重なりとても混んでいた。

 

 

 

 

 

最後に 取り敢えず行動することの大切さ

今回の旅は、もしホテルがキャンセル無料であったなら多分行かなかったのかもしれない。しかし、思い切って重い腰を上げて行動することにより、名古屋の大須商店街をブラブラ散歩することが出来、先輩とその彼女にも偶然にも会えたし、何より伊勢神宮に参拝できた。諸国の色々な風物を見学することも出来た。体験することも出来た。そして、こうしてブログも書くことも出来た。

停滞している時や、気分が乗らないときでも、取り敢えず行動してみる、ということの重要さを思い知ったのである。この「気付き」こそ今回の旅を通して得たものの最上のものである。

そして、「そぞろ神のものにつきて心を狂わせた」自分がいる。多分近いうちにまた放浪の旅に出ることであろう。

 

 

お読みいただきありがとうございました!

 

 

 

 

RICOH デジタルカメラ GRII APS-CサイズCMOSセンサー ローパスフィルタレス 175840
by カエレバ