ミヤガワ日記

ピアノや読書を中心に、日々の気になったことを書いていきます

歯医者とISSEY MIYAKEのマオカラーシャツと自分の真の姿(小説風)


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敗者ならぬ歯医者

 

GWも始まったというのに僕は朝っぱらから新宿の街を闊歩していた。それというのも歯科医に行かねばならなかったらだ。
しかしとても気持ちの良い天気だった。街行く人はみな楽しそうにうららかな春の陽を満喫していた。スーツケースを引く外国人、昨日からオールした陽キャの若者たち、これから旅行に行くであろう◯倫カップルなどなど…。

なぜ僕ばかりこんな良い日に歯医者に行かねばならぬのだ!これぞ人生の敗者!などと、オヤジギャグを考えてニヤニヤしている内にビルに着いた。僕はよく独りでこのような高尚な考え事をして、独りでほくそ笑んでいるのだが、他人から見ればさぞ変な人と思われたであろう。


閑話休題、歯医者に着いて診療台に乗っかる。すると、

 

「さてミヤガワさん、被せ物なんですがどうしますか?銀色のやつでよいですか?」

僕は迷ってしまった。確かに昔虫歯になったときに何も考えず銀歯にしていたが、やはり銀歯は見た目が悪い。よし、ここはひとつ、と思い、

「ほげ、ちなみに白い物はどのくらいしますか?」

「そうですね、うちだとセラミックは10万からですね、ちゃんとしたオールセラミックは12万から」

「じゅうまんえん??」馬鹿なことを言わないでくれ!そんなセラミックの小さい塊が10万だと?

 

僕は頭の中で逡巡した。アメリカでは太った人と歯の汚い人はビジネスマン失格とみなされる、つまりはきちんとした社会人としてみなされないという話を聞いた。うむ、正論!

 

「ではセラミックでお願いします、12万のやつで(爆)」

 

気づくとそんな言葉を口走っていた。大丈夫、金は作れば何とかなるから(震え声)。

ビルを出て歩きながら考えた。元はといえば自分の怠惰が招いた結果である。因果応報というやつだ。とはいえ先ほどまでの太陽のキラメキも今となってはモノクロームに見えた。

 

 

ISSEY MIYAKEのマオカラーシャツ

さて、この日はもう一つ用事があった。写真を撮るのだ。といってもヲタクが集ういかがわしい写真撮影会ではなく、自分のポートレイトを撮るのだ。なんでも社員証に必要らしく、会社に送る期限はあと2日。急いでデータを送らないと間に合わない。

そこら辺にある証明写真でもよかったが、出来ればかっこよく撮りたい。乙女心より繊細なこのオジサン心分かるだろうか?という訳で、カメラ屋さん併設のスタジオっぽいところで撮ってもらう事にした。

 

「な〜んか変わった襟ですね、オシャレですよねぇ~」

かる~い感じのカメラマンの兄ちゃんがお世辞を噛ましてきた。ぜってーそう思ってねーだろ!

 

しかしそこらの一般ピーポーとは違うシャツという事に気づいた事は素晴らしい。そう僕はこの日のためにISSEY MIYAKEの白いマオカラーシャツを着てきたのだ!

 

どうであろうか?ちょっと透けているが…。マオカラーシャツとは立て襟のシャツで、ネルーカラーともマンダリンカラー、スタンドカラーともいわれる。ようするに料理家の服部先生とかを思い浮かべてもらえばよろしい。あれのシャツ版である。

ちなみに僕はマオカラースーツも持っている。こちらのほうはまんま服部先生。

シャツは兎も角、スーツの方はいつどこで着るのかが非常に難しく、クローゼットに眠ったままになっている。一度ネタで服装にそれほどうるさくない職場にスーツの方を着ていったことがあるが、「牧師さんみたいw」とか言われたつらい過去がある。あとは結婚式などで着用した過去がある。

 

 

ピアニストや指揮者はよくこのスーツを着ているので、恐らくはピアノ発表会とかで未来に着ることがあるかもしれないし無いかもしれない。もっともピアノ教室に通ってからの話であるが。

 

さて、本題はそこではない。僕は写真に写った自分の顔に仰天した。

 

「あれ?ブサイクじゃね?」

 

説明しよう。人間はいつも自分を見る時に鏡を使用する。鏡は左右が反転して映し出される。それ故、左右対称の整った顔の持ち主でない限り、自分の真の姿と鏡で見る姿は乖離していることが多いのである。

鏡に映った自分というのは見慣れているのでそれほどブサイクに感じない。これは心理学的にいうと「接触が多いものに対しての慣れ」である。

 

なるほど、OK。OKじゃないけどOK!周りの人はこんな姿の僕を見ていたのか…。この歳になって自分の容姿で凹むとは…!僕は写真館を暗澹たる気持ちで後にした。ゴールデンウィークの初日というのに、なぜ僕は沈んだ気持ちになるのか?街行く人々は楽しそうだった。陽は高く上り、まるで初夏の陽気だった。

 

 

結論:人間は中身で勝負だ!

さて、僕にはこの言葉しか無い。これからも伸びる可能性のあるものは中身しか無いからだ。もちろんいま現状の性格とか、経済状況、教養、技能、ステイタスはまだまだなのだが、外見の作りは変えられないにせよ、これらの要素は変えることは十分に可能と思っている。

また、内面の充実が外見の表情に現れる、といったこともあるかもしれない。という訳で、身だしなみは大切にしながらも僕は今日から内面を磨きます!

 

たまには違う口調でネタ記事を書いてみました。読んでいただきありがとうございました!